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interview

interview2: AboutMusicVideo ”勿忘草” IGU(SOLBRA)&W(To-Ri=HEAD)

都内某所。SOLBRAの鳥IGUと、To-Ri=HEADの映像クリエイターWと打ち合わせ
※interveiw1の続き

【ミュージックビデオについて】

W:そういや月末撮影、だよね?

IGU:はい。今回もまたよろしくお願いいたします!

W:ストーリーはあるの?

IGU:ありますね。テーマは己との闘い。です。

W:なんか、YouTuberみたいなテーマやね。

IGU:撮影だけでは何ともなので、実現できるかご相談なのですが・・・

W:あ、今日の打ち合わせ主旨それね。コンテある?
(※絵コンテのこと、SOLBRAのMVは主にTo-Ri=HEADが制作をしているが、
全体構成、企画、ストーリー、映像について細かくIGUが関わっている。
IGUの意見を反映するため、MVの撮影にはIGUの書いた絵コンテが使われている)

IGU:これです

鞄から何枚かのレポート用紙を取り出す

W:ほい。今、見ていい?

IGU:どうぞ

W氏はIGUから受け取ったレポートをしばらく見ていた

W:なるほどね。見た感じ、今回、めちゃくちゃ編集泣かせやね。

IGU:そうなんですよ。CGを使う場面がそこそこ多いので、
どうかなーと思って聞いてみました。

W:発想は面白いと思うし、曲にもあってるんやない?全然オッケーやよ。

 

【MVで作り上げる世界観について】

W:ところで、ホント今更やけど、SOLBRAはMVで結構手をかけるよね?なんで?

IGU:MVって一曲分の僅か3~5分程度で作られる「映画」のようなものと思っています。
曲を作るときに、また、詩を作るときに、状況や風景を思い浮かながら描いているんですけど。
映像で表現するっていうのはまさにそれを具現化する事ができると思ってるんです。

W:それだと状況によってはSOLBRAは邪魔になるよね。
鳥とか王子とかが出てくる歌の世界観なんてないよね。

IGU:そうですね。そこは悩ましいところではあります。なので、究極、
それを取り除いたのが「勿忘草」のMVだったりしますね。

W:SOLBRAの二人が出てこないMVね

IGU:絵っていうのは時として強いメッセージになります。ただ、使いどころを間違えると、
本来伝えたかった音楽の価値が変わるものだと思いますね。

W:そういや、メイキングの映像を流すようにするんやよね。

IGU:そうですね。これまで応援してくださった皆さまへ、お礼を込めてちょっと舞台裏を見せる。
という意味もありますし、真剣に「作品」に向き合っている事を伝えたい。と思ってました。

W:メイキング公開がてら作品を振り返るの?

IGU:そうですね。ちょと我々自身も振り返りながらやりたいな。と思っております。

【MusicVideo 勿忘草】

※以下は勿忘草のミュージックビデオに関してトークをしております。

 まだご覧になっていない方は先に下記のMVをごらんください。

【勿忘草で伝えたいメッセージとは】

W:メッセージといえば、勿忘草は今までにない路線でドラマティックなMVやと思うけど、
初見やとあれ?いいたかったことはなんなんだろうな?ってなるよね。

IGU:正直、解釈はいかようにもできる映像だったと思います。
あまり説明しすぎにならないようにニュアンスで残す。という事を意識した作りでもありました。

W:自分も制作に携わってるから、どう表現したいかっていうのはIGUから聴いているけど、
観たって人から「どういう意味?」って声を一番いただいた作品だったんじゃないかな。

IGU:そうですね。あの時は表現したい幅が広がったこともあり、調子に乗ってました(笑)
歌ではない「作品」を作ろうと思っていました。なので、「SOLBRA×DORAMA」というフレーズで
当時はキャッチコピーを出していましたね。

W:今、解説すると、あのドラマはどう観るのがおすすめなの?

IGU:あのドラマは歌の世界観とリンクしています。
勿忘草の歌詞は、最愛の家族が亡くなった後の心情を描いており、
なかなか前に踏み出す事ができなかった「僕」の気持ちを描きました。

W:最後に一歩踏み出すって表現やよね。

IGU:そうです。「さようなら」っていう言葉自体は現在の日常に溢れていますけど、
もう亡くなった天国の人にそれの言葉を伝えることは、結構大変なんですよ。
最後の僅かなつながりを切ってしまいそうでなかなか言えないものです。

前に進むことも出来なかった「僕」が、歌の最後に、「さようなら」ではなく、
前向きな「ありがとう」という言葉を伝える。というのが、私が「勿忘草」の歌詞で書きたかった世界です。

W:勿忘草は切ないメロディも相まって、今でも聞いてくださる人が多いみたいね。
MVはそのストーリーをなぞっているってこと?

IGU:ちょっと違いますね。歌の詞で描いていた方は、どちらかというと、
”我がままばかりを言って周りを困らせていた”=”僕”です。
最愛の家族が無くなるとともに、我がままを言う相手も居なくなる。
これまで見ていた景色がガラッと変わっていく。そんな風景です。
一方で、ドラマ版で描いた世界は「仲良しの姉妹」です。

両親が早くに他界し、姉が半分親の代わりをつとめながら、
主人公である「弟」と仲良く暮らしている。
そんな中、姉の無理が祟って・・・という物語ですね。

W:主人公は弟なんだよね。

IGU:そうです。ドラマの中で姉は割と心情を出しているんですが、弟は真逆であまり心情が見えてきません。

W:心情を読み取りづらくした?って事?

IGU:うーん。私の中ではリアルにしたつもりです。普通、あまりあっけらかんと自分の心情を表現する人なんていないですよ?

W:王子は?

IGU:それは、例外です。

 

【主人公である弟の揺れ動く気持ちを観てほしい】

 

W:あのドラマ。やっぱり難しいよね。最愛の姉が彼氏を連れて来たと思ったら、その彼氏が実は遊び人で姉が捨てられて、姉が床に伏せてしまう。

IGU:そうですね。一回見ただけだとそんなストーリーに思えますよね。

W:音楽の尺だし、展開が急だからね。表面の出来事を拾って繋げたらそう見えてしまうわな

IGU:そこで、さっきのお話の「弟の心情」に着目して観ていただけると、また違ったドラマで見えるかなと思っています。

W:んーじゃあ、俺はもう知ってるし、改めて解説するとしたら?

IGU:MVのドラマを観てくださっている前提でお話をすると、ドラマ冒頭、姉妹はめちゃくちゃ仲いいんですよ。

W:そうね。

IGU:年頃の姉妹には珍しいくらい・・・。でも、それは両親の居ない二人が紡いできた姉妹の絆の証なんですよね。

W:そこで会社の遊び人が彼氏として出てくる(笑)

IGU:いや、遊び人じゃないですよ・・・。姉も年頃の女性ですから、女性としての楽しみ方を経験したかったってのはどこかにあると思いますけど・・・。

W:お姉さんが癌で身体が蝕まれてたんだよね。

IGU:はい。姉妹の母が亡くなった病気と同じで、姉は進行形の肺がんを患っていました。
病院で自分の生きられる最後の時間を悟った姉は、自分の事、弟の事を両方を思って彼氏を家に呼び込みます。

W:もともと付き合ってたって事?

IGU:いえ、お付き合いはしてなかったです。ただ、相手には自分の病気を打ち明けていました。
そして、誰よりも大切な弟がいて、自分がいなくなった後の弟の事を心配していることも伝えました。

W:ドラマの最後に彼氏と姉が二人が別れているようなシーンがあって、謎をよんでたけど?

IGU:まさに、あれは物語のキーとなるシーンですね。実は二人は付き合っていなかったんです。
お互いに気持ちがなかったわけではないのですが、姉は弟の事と自分の事を思うと、っていうのがあったんですね。
とわいえ、弟は割と姉に近い形で生活をしてきた為、自分がいなくなったら、弟は生活できるのだろうか?
弟にとって、誰か頼れる人の存在が欲しい。そんな意図から彼氏。として紹介したんです。

W:姉が彼氏を利用した!?

IGU:ちょっと表現が・・・。映像にはないですが、彼氏から打診してます。
彼氏は線路沿いで姉に断られてますから、でも、姉の気持ちをしった事もあり、
自分としても居てもたってもいられなくなったんでしょうね。

W:ただ、それが裏目にでた。

IGU:そうですね。人の想いというのは、なかなか読めないもんです。姉と弟の距離が近かった分、
実際、突然紹介をされる彼氏に戸惑いが隠せられませんでした。
それは態度にもすぐに表れて、翌日から挨拶もろくにしようとしなくなります。

W:家に帰ろうとしなかったりね。

IGU:あ、わかってくれました?(笑) 普段やらない残業を率先してやることで、なるべく姉から距離をとっていました。

W:人ってそんなに気持ちは変わるもん?

IGU:人の心は変わりやすいもんですよ・・・って私も知らないっすけど。。。(笑)
ただ、実際、姉が彼氏を連れて来た事だけが起因しているのではなくて、姉のメッセージをみちゃった事にあります。

W:お守りを開けたシーンね

IGU:そうです。実際、開けるかどうかもわからないし、開けるとしたらきっと自分がこの世を去ってからだろう。と思った姉は、
自分の事、弟へのメッセージを書いた手紙を入れたお守りを渡します。
でも、受け取ってすぐ、お守りを開けちゃうんですね。

W:罰当たりな!

IGU:(笑) あまり開けるものではないですけどね。やっぱり親しい人が普段と行動が違うと気になるもんですよ。

 

IGU:全てを理解した弟にとって、受け入れられない現実の大きさ。
本当はもっと姉と接していたいのに、時間がない今こそ接するべきなのに、
行動が伴わない。どんな顔をすればいいかわからない。 そんな葛藤でした。

W:隠さずに「ねえちゃん、お守りあけてもうた~」・・・じゃダメなの?

IGU:関西弁やめてください。イメージが変わってくる(笑)
実際は難しいですよ。知られたくない情報を事前に知ってしまって、
しかもあまりにショックの大きい情報を知らないふりしていつも通り接するのは大変ですよ。

W:で、まごまごしてたらその日が来るわけね

 

IGU:まごまごって・・・(笑)。でも、そうです。二人にとって突然の別れが訪れます。
時間が流れているのに時が止まったような空間。
あの映像には、場面だけではなく心境も描いていたつもりです。

W:なるほどね。ちゃんと別れを告げられないまま先立ってしまった姉。
その姉の思いを知りながら、もがき葛藤している弟かぁ。
ん?じゃあ、弟が彼氏に突っかかってたのは?

 

IGU:完全な八つ当たりですね。

W:八つ当たりって・・・。

IGU:八つ当たりです。自分が悪いと分かっていても、思い込みたくない時に人のせいにしたりする感じです。
というのも、主人公の弟は、ぶっちゃけ、「弱い」です。
身体という意味ではなく。「心」が。
姉に強い依存感を持っている部分でも表現していますが・・・
でもそれは弟だけに限った事ではなく、本来、誰だってそんな強くないんですよ。
誰にだって陥ってしまうだろう心の弱さです。

W:でも、まあ、人が亡くなってすぐに切り替えられる人はいないわな。

IGU:そうですね。切り替えられるには、大きなきっかけが欲しいんですよ。

W:それが、彼氏を悪の対象にしたと。

IGU:まさにそういうことです。「おまえのせいで!!」と、大きな声を張り上げて彼氏につっかかりますが、
あれは彼氏ではなく、弟が自分自身へ言ったメッセージでもあったんです。
人と対峙して自分自身を透かしていく。
ドラマの世界ではなく、実は、無意識にみなさんやっている事でもあります。

W:まーでも、彼氏も「遊びだった」ってLINEしてたしね。キレられて当然じゃない?

IGU:ちょっと!あのメッセージは彼氏本人じゃないですよ(笑) 話の伝聞というのは大体間違った感じで伝わります。
付き合った時期があまりにも短かったので、会社の人たちが面白がってそう伝えているんですよ。
今となっては混乱を招きすぎたシーンだと思いましたけど・・・。

W:彼氏はどういう心境だったんやろ?

IGU:そうですね・・・彼氏は最初に姉から付き合えない理由を言われて断られています。
それでも・・・という思いから食事に同席したりしていたわけですから、
よっぽど強い思いもあったんでしょうね。
姉妹を少し離れたところから見守るお兄さん的な役割を買って出たんだと思います。

 

W:そう思うと、人の見え方がまるで変わるね。

IGU:そうですね。このストーリーは、そういった気持ちの揺らぎや、表面上の見え方を意識して書きました

W:そこまでわからないと思うよ。弟は急に不機嫌になるし、彼氏は遊び人って言われるし

IGU:そうですよね・・・そこは反省です。このドラマは特に、何度か見ていくことで解けていくことを意識したので、
ぱっとみた明快さは少なかったように思いますよね。

W:この記事観た人は、改めてこのドラマをみていただけるとええね。

IGU:ぜひぜひ、観ていただきたいです!

W:しかし、えらく語ったね。。。

IGU:インタビュー企画でやりたかったことはまさにこういう事ですから!!

W:えー。自分でほぼしゃべってたやん。俺いらんやん。

IGU:思いがあってMVを造っているってわかってくださるといいなーって。
毎回MVを編集をしてくださっているWさんの事とか。

W:今回、俺、編集についてなんも言ってへんけど・・・。

 

 

IGUの構想がぎゅっと詰まったMV勿忘草

ぜひ、メイキング映像を併せてご覧ください

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